ブラック・ジャック「消えさった音」から考える
ブラック・ジャック「消えさった音」 【194】消えさ った音 | 手塚治虫「ブラック・ジャック」40周年アニバーサリー! | 秋田書店 あらすじ 航空機離着陸の騒音でノイローゼになった田田川さんは、騒音の度に自分の鼓膜を破いてしまう。医師は転居を促すが、先祖代々守ってきた農地を離れることを拒否する。今度は騒音を聞いて耳に熱湯を注ぎこんでしまった。 天才無免許医師のブラック・ジャックが大きな音だけが聞こえなくなる鼓膜形成手術をした。それによって、騒音に悩まされなくなったが、自分だけが騒音問題の当事者でなくなってしまった。騒音問題を取り戻すため、ブラック・ジャックに元に戻す手術をお願いするのであった。 騒音問題を取り戻す理由 自分だけ騒音問題が無くなっても、騒音で苦しんでいる人がいるから。 騒音問題が生きがいだから。 問題が解決した後の世界を思い描く 問題が解決した世界を思い描いたほうが、問題の解決に近づきます。その世界には問題を思い出すものは登場させないほうが良いと考えられます。 問題をすっかり忘れた時、本当の解決になります。例えば禁煙して何日経ったかカウントしている人は、まだ禁煙に成功していないと言えます。 問題依存症にご用心 様々な活動家がいらっしゃいますが、問題が解決してしまったら、仕事が無くなってしまいます。問題をきれいに解決しないように、問題の種をまきながら活動家をされている方もいらっしゃいます。しつこい活動家は小さな問題を探し出し、大きな問題として取り上げます。 「消えさった音」では騒音問題に取り組む姿勢について、手塚治虫が皮肉を込めて描いています。ブラック・ジャックの特殊な外科手術によって一人の男の騒音問題は解決しましたが、納得しませんでした。 問題が解決した世界に、問題を登場させてはいけません。問題から解放された世界をリアルに思い描いてください。そうすることで今何をしたら良いかが分かります。 私は活動家ではなく、解放家みたいな役割をします。