スポンサーリンク
コラム

ベーシックインカムは実現可能か

コラム
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163906577

隷属なき道

 隷属なき道/ルトガー・ブレグマン 著/野中香方子 訳を読んでいます。要約しながら、私の考えを書かせていただきます。

『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』ルトガー・ブレグマン 野中香方子 | 単行本
欧州29歳の知性、自費出版で出たその本が世界的に話題になっている 産業革命以来、減少を続けた労働時間は、70年代を境に上昇、貧富の差は極端に拡大、我々は機械との競争に敗れつつある。

ユートピアにたどり着けない

 200年前に描いていたユートピア(理想郷)はとっくに実現しています。ユートピアにたどり着いた時点でユートピアでなくなってしまいました。理想追求をするほどに、理想郷から遠ざかります。これ以上、より良い暮らしを思い描けなくなっています。健康を追求するあまりに、不健康に向かっています。

 まさに悪循環だ。かつてないほど多くの若者が精神科医にかかるようになり、また、かつてないほど多くの若者が、仕事を始めてすぐに燃え尽きてしまう。そしてかつてないほど多くの人が抗うつ剤を飲んでいる。失業、不満、うつ病といった社会全体の問題は、いつも個人の責任にされる。成功を選択できるなら、失敗も選択の結果だ、と。仕事を失くしただって?もっと懸命に働けばよかったのに。病気になっただって?不健康な生活をするからだ。気分が塞ぐって?薬を飲めばいい。といった具合だ。

引用:P.23-24

 理想を誰かに押し付けられるのではなく、理想を自分で思い描くことで生きる活力が得られます。理想ではない状況を切り開いていく希望や冒険心が人類の進歩には必要です。

 不老不死が達成できたとして、生きることが義務感になってしまったら、幸せではありません。完璧でないから生きていけると思います。

福祉にお金を使わず、直接ベーシックインカムを渡す

 福祉にお金を使うと、不必要な福祉事業にお金を無駄に使われます。何が必要かを知っているのは、福祉事業者ではなく、本人です。貧困者には福祉ではなく、ベーシックインカムを直接渡したほうが、トータルコストが低く抑えられると書かれています。

 貧乏人はお金の扱いが下手だ、という見方は広く浸透しており、自明のことのようにも思える。そもそも、お金の使い方がうまければ、貧乏人になるはずがない。彼らは新鮮な果物や本ではなく、ファストフードやソーダにお金を使うに違いない、とわたしたちは推測する。(中略)フリーマネーは人を怠惰にする。
 だが、そうではないという証拠が揃っている。(中略)
「お金をもらったことで、貧しい人々は選択の自由を得たんだ」(中略)
 彼は、貧しい人々が何を必要としているかを本当に理解しているのは、貧しい人々自身だという信念のもと、彼らに現金を与えたのだ。(後略)

引用:P.33-34

ベーシックインカムが低所得者を賢者にさせる

 低所得者にベーシックインカムを与えても、自己研鑽に使い、無駄使いしないと書かれています。

 貧困は視野を狭くさせ、貧困について集中してしまう。ベーシックインカムは人を未来志向や解決志向にさせます。

 残念ながら、わたしたちは病気を治そうとせず、症状を抑えることばかり考えている。警察官は浮浪者を追い回し、医師はホームレスを治療しても路上に戻し、ソーシャル・ワーカーは化膿した傷口に絆創膏を貼るようなことばかりしている。(後略)

引用:P.76

効率化追求の果て

 効率化を追求することで、効率化を促進しそれを独占する富裕層、それによって不要になる貧困層に2極化されています。効率化によって浮いたお金は労働者には十分渡りません。それだけでなく給料が下げられ、やがて解雇されます。

 人間の頭脳を超えるAIは近い将来登場します。それは多くの人間に考えるの止めさせるかもしれません。

 効率化によって生まれた富(時間・お金)を再配分しなければ、人類全体は不幸になると考えられます。このままでは疑心暗鬼な世の中になり楽しくありません。

(前略)一九六〇年代の逸話がある。ヘンリー・フォードの孫が、労働組合のリーダーであるウォルター・レアザーを自社の新しいオートメーション工場に案内した時のことだ。フォードの孫はレアザーに冗談めかして尋ねた。「ウォルター、あのロボットたちにどうやって組合費を払わせるつもりだい?」。すかさず、レアザーが答えた。「ヘンリー、あのロボットたちにどうやって車を買わせるつもりだね?」

引用:P.204

 効率化によって払う必要が無くなった人件費が内部留保されると、商品・サービスを購入してくれる人が減る一方です。

空からベーシックインカムは降ってこない

 ベーシックインカムによって、人を頼れて、自分を頼ってくれる人が増えます。つまり、全体的に人の価値が上昇します。

 お金がないから出来ないというマインドを捨てるのはかなり難しい。その代わりに、ベーシックインカムを配ることで人はやる気満々になれます。

 しかし、ベーシックインカムを配ると流通する貨幣が増えて貨幣価値が下がり、既にお金を貯えていた人々は損をします。生きるために無理に働く必要がなくなると、働かせることが難しくなります。既得権益者はベーシックインカムを歓迎しておらず、実現する見込みがありません。そうであれば受け身で待たず、ベーシックインカムを自分で作ればよいと思います。挑戦する心を忘れてはいけません。

 消費税はベーシックインカムと逆行する制度で、人のやる気を奪う悪い制度です。消費税を廃止するだけでなく、消費するとお金がもらえる制度にしたほうが良いと思う。

 お金を握りしめて生まれてくる人はいない。それでも育てられてきたことを思い出してください。お金は単なる記号に過ぎない。それに一喜一憂するのをもうやめよう。

 お金持ちの富豪だけが残っても、お金を使う相手がいなければ、お金は無価値です。人を頼り、自分も頼られる好循環を生み出していきましょう。

参考資料

タイトルとURLをコピーしました