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コラム

「約10万人の日本人を追跡したデータから明らかになる不眠症で睡眠薬を服用している人たちの死亡リスク」を読んで

コラム
https://www.saga-u.ac.jp/koho/press/2022101327942

佐賀大学プレスリリース

約10万人の日本人を追跡したデータから明らかになる不眠症で睡眠薬を服用している人たちの死亡リスク | 佐賀大学広報室
国立大学法人佐賀大学のホームページ。

プレスリリースを受けた記事

ニュース|BIGLOBEニュース
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不眠症への睡眠薬で死亡リスク1.3倍に
不眠症への睡眠薬で死亡リスク増

プレスリリースを読んで言いたいこと

 オレキシン受容体拮抗薬が日本で始めて発売されたのが、2014年11月でした。

製品名発売時期
ベルソムラ2014年11月
デエビゴ2020年7月

 今回の調査は2004年から2014年のデータを元にしています。つまり、睡眠薬といえばGABA-A受容体作動薬(ベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系)が主に使われていた時期です。

 GABA-A受容体作動薬の問題点は連用によって主に脳にあるGABA-A受容体にダメージを与えてしまい、その回復にはその薬を止めるしかなくなりますが、薬を止めると強い不眠症や不安症になり、更に薬を求める悪循環になることです。GABA-A受容体は興奮と抑制の調節弁の役割をしており、ダメージを受けると、極端に興奮(不眠につながる)、又は抑制(抑うつにつながる)状態になり、日常生活を安定して過ごせなくなります。その結果、別の向精神薬を併用して与えられることになり、初期の病状と薬害の線引が難しくなり、長期にわたり精神医療を受け続けるケースが散見されます。

 GABA-A受容体作動薬がGABA-A受容体の抑制作用を増強させるので、体は抑制されすぎている状態に対抗するためにGABA-A受容体を減らすと考えられています。しかし、GABA-A受容体が減ると、興奮と抑制の調節力が低下してしまい、起きたい時に起きられず、寝たい時に眠れない事になります。

 薬によってダメージを受けたGABA-A受容体を回復させるために、一気に薬を止めるのは推奨されません。前述の通り、強い不眠症や不安症になります。ギリギリ耐えられる程度の減薬量を見定める必要があります。GABA-A受容体にはいくつかのタイプがあり、その分布に個人差があるので、減薬による影響にも個人差が生まれると考えられます。一気に断薬して大丈夫だった人もいれば、そうでない人もいます。

 GABA-A受容体作動薬には筋弛緩作用があり、就寝時の呼吸抑制が起きる場合があります。また、ふらついて転倒するリスクも上昇します。それらの点が死亡リスクの上昇に関連があると考えられます。

 これまで説明した通り、GABA-A受容体は根本的に治す薬ではなく、症状を一時的に抑える薬です。それどころか、逆効果になりえる薬です。定期的に使用するのは推奨されません。

 アルコールもGABA-A受容体作動薬の一種です。アルコール依存症の方を思い浮かべると分かりやすいでしょう。アルコール依存症の方はアルコールを飲むの一時的に良くなりますが、何の解決にもなっていません。

 GABA-A受容体作動薬の減薬で大変苦しい思いをされている方が多数いらっしゃいます。私もその経験者の一人です。この経験から言えることは、最初からこの種類の薬を飲まずに、具体的な原因を取り除く努力すべきです。通院1回のコストを簡単に計算すると、拘束時間はおよそ2時間で時給換算で2200円、窓口負担額(3割負担)1800円の場合は10割負担6000円、交通費1000円、合計9200円。4週間に1回通院(13回通院)するなら、年間11万9600円です。そのお金で薬を買うのではなく、美味しいものを食べて、良い寝具で寝たほうが良い。職場のパワーハラスメントであれば、弁護士に相談することもできます。薬を飲みながら布団の中で涙を流す必要はありません。

 今ほど人類の歴史でこれほど薬に頼っている時代はありません。ご自身の自然治癒力を最大限活かす生き方をしましょう。自分を信頼できる生き方をしましょう。

参考資料

 

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