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コラム

宇多川久美子のお薬講座

コラム

「宇多川久美子のお薬講座」

 サライ.jpで連載中の「宇多川久美子のお薬講座」に、睡眠薬に関する記事がありましたのでご紹介します。

第8回

「とりあえず、眠れる薬出しておきましょうか」から始まる眠剤生活|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第8回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
きっかけはかかりつけ医の処方薬 最近、寝つきが悪い。寝ても熟睡できない、途中で何度も目が覚める。睡眠に悩む人が増えています。「睡眠負債」なんていう言葉もできました。ストレスのせい、年のせい、それとも更年期のせい? 眠れな…

第9回

睡眠薬、知っておきたい市販薬と処方薬の違い|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第9回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
処方薬「睡眠薬・睡眠導入剤」は中枢神経に作用する 眠れない人が増えています。とりあえず市販薬で何とかならないかとドラッグストアへ出かける人も多いでしょう。眠れる薬の広告は昔からよく見られます。「睡眠薬」という言葉には今で…

第10回

不眠症の4タイプ。自分のタイプに合った薬を処方してもらっていますか?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第10回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
自分のタイプを知る——-「不眠症」とはどういう症状か? 眠れない。寝てもすぐ目が覚める。寝た気がしない。朝がつらい。こうした睡眠にまつわる不調、不安が増しています。睡眠には精神的な要素も大きく関係…

第11回

新タイプの睡眠薬「オレキシン受容体拮抗薬」の効き目と安全性|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第11回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
向精神薬とは別のメカニズムで 現在、よく処方されている睡眠導入剤の「ハルシオン」や短時間作用型の「デパス」などは、向精神薬の一種です。脳の中枢神経に作用することで眠りやすくするのですが、それゆえに副作用も心配されます。報…

第12回

睡眠薬の長期服用リスク「ダウンレギュレーション」とは|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第12回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
「先生、睡眠薬をいつまで飲んだら治りますか?」 先日、よく眠れないという50代の女性からこんな質問をされました。 「ハルシオンを飲んでいるのですが、いつまで飲んだら不眠は治りますか?」 ハルシオンはとてもポピュラーな睡眠…

第16回

高齢者にとってポリファーマシーのリスクは何か?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第16回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
高齢者ほど薬効成分が効きやすい理由 ポリファーマシー(多剤服用)という言葉が知られるようになりましたが、特に問題が出やすいのが高齢者です。読者の中にはご自身だけでなく、親の薬の量を見て心配されている方もいらっしゃるでしょ…

第17回

「お薬手帳」を有効に使っていますか?|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座【第17回】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
「お薬手帳」を自分のお薬メモに みなさんも持っていると思います「お薬手帳」。薬局の薬剤師から「お薬手帳、お持ちですか?」と聞かれる、あの手帳です。導入されて20年近くになりますが、あまり有効に使われていないように感じます…

宇多川久美子さん

公式サイト

宇多川久美子
薬を使わない薬剤師宇多川久美子オフィシャルサイト

プロフィール

プロフィール – 宇多川久美子
Profile宇多川久美子よりご挨拶私は「薬を使わない」薬剤師として活動をしています。薬剤師になったのはかれこれ36年前、それ以来医療の現場でいわゆる「患者さんに薬を出す」仕事を20年くらい続けました。

用語集

半減期 

 薬を使用してから、有効成分の血中濃度が最高になるまでの時間を最高血中濃度到達時間(Tmax)と言い、そこから血中濃度が半分になるまでの時間を半減期(T1/2)と言います。正確には血中濃度測定地点から半減する地点が半減期になるので、基準とした地点によって意味合いが異なります。

© (Helmut Schütz) [CC BY (https://creativecommons.org/licenses/by/3.0)]

参考資料:

ダウンレギュレーション

継続的または過度な刺激により、神経伝達物質やホルモンなどへの応答能が低下すること。それらの物質や信号の受容体の減少や、感受性の低下によって生じる。下方制御。下方調節。

出典:デジタル大辞泉

 ベンゾジアゼピン系の継続使用により、GABA-A受容体がダウンレギュレーション(受容体減少や、感受性の低下)を起こします。その結果、薬の効き目が低下し、それに対し薬を増量すると一時的には効き目が戻りますが、やがて薬の効き目が低下します。ダウンレギュレーションにより薬が効かなくなるだけでなく、神経伝達物質のGABAも作用が低下し、興奮伝達を抑制する能力が低下します。

薬物依存

 記事中には「身体依存」と「精神依存」が登場します。睡眠薬や抗不安薬による身体依存の正体は、GABA-A受容体のダウンレギュレーションと考えられています。しかし、臨床現場でGABA-A受容体を簡単に検査できないので、その結果起きていると考えられる「精神依存」を薬物依存の判断材料にしています。

 薬物依存(精神依存)は、薬物への渇望が観察された時に診断されるそうです。渇望とは、何としてもそれが欲しい気持ちです。渇望から起きる薬物乱用などの行動も観察対象でしょう。

 しかし、薬物依存の原因は身体依存なので、気の持ちようで解決しません。指導やアドバイスなど曖昧なものではなく、GABA-A受容体の状態を視覚化や数値化して、具体的に経過観察することが必要だと私は思います。初診時にそれが出来れば、薬の必要性や開始後の中止時期を具体的に決められそうです。

 そもそも、睡眠や精神安定に大切な役割をしているGABA-A受容体へダメージを与える可能性がありながら、GABA-A受容体作動薬を使用する方針が間違っているのではないかという議論が必要です。

 コンピューターで例えると、精神はソフトウェアで、身体はハードウェアです。ソフトウェアはハードウェアに支配されているので、ソフトウェアの改善でハードウェアの不調を完全に直すことはできません。ソフトウェアは抽象的な存在で、ハードウェアは具体的な存在です。例えば、Windows OSは様々なハードウェア上で動作しますが、ユーザーインターフェースや動作は共通です。これはハードウェアの違いをソフトウェアで吸収しているからです。しかし、ハードウェアの制限をソフトウェアで超えることはできません。

 今の精神医療はソフトウェアのレベルで観察しているのに、ハードウェアに作用する薬を使用しています。そのことが様々な問題を起こしていますが、全部ソフトウェアの問題として葬り去ろうとしています。精神医療はリスクが高いが、責任は取らなくても良い構造になっています。

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