「後輩力 凡人の僕が、友だち5000人になれた秘けつ」入江慎也 著
次の本を読んで、感じたことを書かせて頂きます。
入江慎也(いりえ しんや)さんはお笑いコンビ「カラテカ」のツッコミ担当です。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属していましたが、2019年6月に反社会的勢力との不適切な関係が明らかになり、マネージメント契約が解除されました。
後輩力とは
後輩力は、人付き合いをうまくしてくれて、人脈やつながりを広げ、仕事もプライベートも充実して、楽しい時間も作れる……、そんな素晴らしい力。
引用:P.5
この本を読むと「後輩力」とは先輩や権力者を上手にヨイショして、おいしいポジションを確保する力のようです。後輩は誰かの先輩でもあるから、この本には先輩風を吹かす「先輩力」の面もありました。
入江信也さんを分析
入江信也さんは自分に自信がない人のようです。自信のなさを補う為に、いちいち理論的に考えて、今自分が何をすべきかを考えているようです。常に人目を気にしていて、自分の気持ちが分からなくなっているように感じました。お笑い界の理不尽ともいえる上下関係の中で生き抜く術を考えて表現できる努力家です。
過酷な世界を生き抜く
エベレスト登頂を果たし帰還した冒険家が書いたような本だと感じました。私はエベレスト登山する予定はありませんが、登山家の話を聞いたような心境です。そんな過酷な場面に出会いそうもないが、何かヒントをくれます。
上下関係の厳しさは誰の為か?
吉本興業は伝統的に芸歴によって上下関係が決められていると聞きます。上下関係が入れ替わることがありません。先輩に気に入られる事が、芸能界で生き残っていく上で必要です。
著者が事務所の先輩から些細なことで怒られている描写があります。また、やりすぎとも感じる先輩への気遣いも書かれています。著者は自分を気遣いのプロフェッショナルとして読者にアピールしています。しかし、著者が心から喜んで行動を決めていないのが読み取れるので、魅力ある人物に感じられないと私は思います。
我慢してきたことは、他人にも強いる傾向があります。我慢はよい文化を作るとは言えません。
出版は失敗じゃない?
この本には先輩の実名を挙げてどういう気遣いをしているか多く書かれています。先輩がこの本を読んだら、手品の種明かしをされたように興ざめではないでしょうか。
強さとは何か?
自分の短所(弱点)を受け入れることで、長所(強み)になりえると思います。著者は短所を理解しているようですが、受け入れておらず、一時しのぎのテクニックに頼っている印象を受けました。
自分の短所を周りの助力で補うのは素晴らしいアイデアです。人間関係の広がりで、弱点を補える可能性も増え、強みを生かせる場面も増えます。
強さとは自分の弱さを自覚して、受け入れて、一週間ぐらい苦しむことかなと思います。例えば、失恋した時に喪失感と向き合わずに、簡単なモノで埋め合わせることは成長につながらないと私は思います。
入江慎也さんへ
今、どういう思いで過ごされていますか?今感じていらっしゃる感覚はあなたへのギフトです。半年ぐらい、そのまま静かにその感覚を感じてください。つらい時もあるかもしれませんが、睡眠薬やお酒などで感覚をマヒさせることは避けていただきたいなと思います。遠回りが最短ルートの場合もあります。急がないことです。
「孤独力 凡人の僕が、友だち0人になれた秘けつ(仮題)」をお待ちしております。
孤独もきっと糧になります。