ドメイン移管したい理由
私の管理しているドメイン「benzo.space」の更新料が1年あたり980円から2980円へ値上がりしてしまいました。違うレジストラ(ドメイン小売り業社)へ移管することで、費用を下げられる場合があります。しかし、日本のレジストラは寡占状態になっていて、更新料が高止まり傾向です。最初の1年目は安いが、更新料は高い場合もよく目にします。そこで海外のレジストラのNamecheapへ移管しようと考えています。見積もりをしたところ9.88ドル、日本円で約1084円でした。Namecheapは日本語に対応していないので、英語を理解して契約する必要があります。
ドメインとは
ドメインとはIPアドレスに関連付ける為の文字列です。
私が取得しているドメインは「benzo.space」です。「.space」はトップレベルドメインと言って、勝手に作ることはできません。「???.space」の???部分を使用料を支払い借りています。このウェブサイト用にサブドメインを設定して「quit.benzo.space」にしています。命名規則はありますが、「???.benzo.space」の???部分は好きなだけ作れます。
ドメインが一般的になる以前のウェブサイトはIPアドレス(例、8.8.8.8)でアクセスしていました。ドメイン名とIPアドレスを関連付ける事で、分かりやすいURLを設定できます。IPアドレスは有限ですので効率よく使う必要があり、複数のドメイン名を1つのIPアドレスに関連付けすることで節約する役割もあります。
人気のあるドメインは、辞書にあるような単語で覚えやすく、15文字程度の短さの物が多いようです。人気のあるドメインはオークションで売買されています。ドメイン名はブランディング戦略にも重要です。
ドメイン名からIPアドレスを調べるサービスをDNS(ドメインネームサービス)と言います。DNSは分散システムで1つのサーバーにアクセスが集中しないように工夫されています。
実はIPアドレスにも使用料は必要です。私はレンタルサーバー(他ユーザーと共有)に対し使用料を支払っています。そのサーバーに設定されているIPアドレスを使っています。
レジストラとレジストリ
spaceドメインを例にすると、「.space」の元締めがレジストラで、「???.space」の???を販売する正規登録代理店がレジストリです。レジストリからドメインを下ろしてもらう取次業者も存在します。
レジストリはドメインの売価を決められます。競争相手が多いほど値段は下がります。
日本のICANN認定レジストラは2019年10月現在19社あります。詳しくは下の表をご覧ください。ドメインを一般消費者向けに積極的に販売している事業者は10社程度だと思います。中でもGMOインターネットグループが最大勢力です。
世界全体では2449のICANN認定登録業者があります。会社名が異なっていても中身は同じ会社が多くあるようですので、業者の選択肢は半分以下かもしれませんが、日本の19社に比べれば遥かに多い業者の中から選べます。
日本にあるICANN認定登録業者 ※2023/04/06現在
登録業者名 | URL |
GMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.com | www.gmo.jp |
PSI-Japan, Inc. | psi.jp |
Interlink Co., Ltd. | www.gonbei.jp |
IDC Frontier Inc. | do-reg.jp/ |
GMO-Z.com Pte. Ltd. | z.com/sg/ |
GMO Brights Consulting Inc. | brightsconsulting.com |
WIXI Incorporated | wixi.jp |
Japan Registry Services Co., Ltd. | jprs.jp/registrar |
Netowl, Inc. | www.star-domain.jp |
Kagoya Japan Inc. | www.kagoya.jp |
JPRS Registrar Co., Ltd. | jprs-registrar.co.jp/ |
Taka Enterprise Ltd | www.takaenterprise.com |
BR domain Inc. dba namegear.co | www.brdomain.jp |
Nakazawa Trading Co., Ltd. | nakazawa-trading.co.jp |
WingNames Co., Ltd. | www.wingnames.co.jp |
Sky Clear Co., Ltd. | www.skyclear.co.jp |
Dai Nippon Joho System Co., Ltd. | www.dainippon.co.jp |
Mfro Inc. | www.mfro.net |
Access Japan Co, Ltd. dba REGne (www.regne.net) | www.regne.net |
出典:List of Accredited Registrars (icann.org)
新規ドメイン取得し移行ではダメ?
今あるドメインが失効する3か月前に、新しいドメインを取得するなら、選択肢としてありです。検索エンジンのクローラーにドメインが変更になったことを通知しないと、コピーサイトが作られたと認識し、新しいドメインを価値の低いサイトとみなす場合があります。また、サイトの価値がリセットされる場合もあり、検索結果の表示順位が下がる可能性があります。Googleはサイトの評価基準を公開しておりませんので、完璧な対策はできません。相当の準備をしてドメインを変更しなければなりません。
ドメインは更新料を支払わなければ失効します。その後、一定期間は第三者が取得できませんが、その後は先に申し込んだ誰かに使用権が移る場合があります。それがアダルトサイトに使われたり、同業他社に使われたりする可能性があります。ドメイン変更を周知するために数年は更新料を収めて案内したほうが良い。ドメイン名とブランド名が一致している場合はドメインを失効させない方が賢明です。
新ドメインを取得したら、DNSサーバーに新ドメインを登録し、ドメイン名をウェブサーバーのIPアドレスに向ける必要があります。
このサイトはワードプレスを使用していますが、ドメインを変更するといくつか修正する箇所があります。Google AdSenseにも新ドメインを登録する必要があります。何かのサービスを利用していて旧ドメインを登録している場合は、情報の更新が必要かもしれません。
費用を減らすためにドメインを変更すると、想定以上の資産を失う場合がありますので、周到な準備が必要です。ドメイン変更に伴う設定変更や、情報修正に手間が必要です。
私が考えるドメインの適正価格
適正価格と書いてしまいましたが、レジストラーがレジストリ―からドメインをいくらで仕入れているか分かりません。DNS(ドメインネームサービス)を維持するコストも分かりませんので、コストを元にした適正価格は割り出せそうにありません。
ユーザーはインターネットプロバイダーからDNSサーバーのIPアドレスを伝えられていると思います。そのDNSサーバーは上位のDNSサーバーを参照して情報のアップデートを繰り返しています。最上位のDNSサーバーはルートサーバーと言い、世界に13アドレスあるそうです。これは13台ではなく、実際には935台(2019年2月現在)あるようです。このサーバーの運営費もドメイン使用料から割り当てられていると想像します。
レジストラーの仕事はドメインを仕入れて、登録された顧客のドメインを管理し、その為のサポートを提供することだと思います。人手がかからないようにウェブサイトを作成し運営しています。詳しくない顧客を相手にするにはコストもかかります。初期コストと運営コストはかなり大きく、運営しながらシステムを改修するのにも相当の技術力が必要です。
レジストラーの業務が軌道に乗れば、相手にできる顧客は世界全ての人になります。ドメインを必要としている人は1000人に1人ぐらいではないかと想像します。73億人いたら、730万人を顧客に出来ます。
JPドメインは2018年の1年間に55,880登録増えたそうです。JPドメインは1つ3000円ぐらいなので、推定ですがおよそ1億7千万円の売り上げです。
レジストリ―とレジストラーが話し合い卸値を決めているようです。.comドメインはICANNとベリサインが価格統制をしているそうです。どうやらドメイン市場は寡占状態であり、価格は値上がり傾向です。
ドメインの値段が高いと質の高い顧客が集まりやすくなるので、ドメイン全体の価値を維持できるという考えもあります。ドメインの価格を安くするとスパムメールのメールアドレスや質の悪いサイトのURLに使用される場合があります。
純粋なDNSの維持費に対する対価であれば、1ドメイン1年あたり500円で十分だと思います。インターネット税が無い代わりに、上乗せで支払うとして1200円ぐらいでお願いしたい。3000円は高すぎる気がします。
後から更新料を値上げされると割高感が強くなります。消費者の対策としては安いうちに10年先まで更新料を支払えます。海外のレジストラーを使うことで恐らく消費税が発生しないと思います。
参考文献:Who Controls the Price of .Com Domain Names? – Namecheap Blog
レジストラの選定基準
入金方法がクレジットカード以外にも用意されていると、クレジットカードが使えない場合に助かります。NamecheapではPayPalやビットコインなどが使えます。日本の会社では銀行振込、郵便振替、WebMoney、コンビニ決済などが使える場合があります。
WHOIS情報公開代行に対応しているレジストラが良いと思います。利用料有料のレジストラもあります。
手続きミスや悪意のある第三者の申込みで、ドメインの所有権が他人に移る場合があります。ドメインロック機能に対応していると、他人にドメインを奪われるリスクを抑えられます。
Namecheap移管の懸念事項
Namecheapに限りませんが、ドメイン移管の際にWHOIS情報公開代行を止めて、自分の情報にする必要があります。これは移管先のレジストラに移管申込者とドメイン所有者が同じであることを示す必要があるためです。レジストリによりWHOIS情報で何が公開されるかは異なりますが、氏名、住所、電話番号、メールアドレスがインターネット上に表示される場合があります。
Namecheapは日本語でサポートが受けられません。米国にある会社なので、現地の法律が適用されます。裁判に発展するようなトラブルになった場合は、大変面倒なことになります。
Namecheapでトライ
今回はドメイン移管を見送りました。代わりにbenzo.tokyoを新規に取得しました。