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コラム

薬剤師による薬剤使用期間中の患者に対するフォロアップ義務化

コラム
https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/other/follow-up.html

薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き

 2019年12月に薬剤師法並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)等が改正・公布されました。その中で、薬剤使用期間中の患者へのフォローアップが明文化されたようです。

 日本薬剤師会のウェブサイトに「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.1版)PDF」が公開されています。この手引きはフォローアップする側(薬剤師など医療従事者)向けの手引きです。

手引きからピックアップ

なお、「法律で決まった」「実施するよう指導された」等の非本質的な説明は薬剤師としての責務を放棄し、信頼を失墜させる行為であるので厳に慎むこと。

引用:8ページ

 興味深いアドバイスだと思いました。やらされている感を出すと、相手に伝わってしまいます。薬剤師としての使命を果たしたいという感じを出すと良いのかもしれません。薬剤師間でロールプレイング演習したほうがよさそうです。

なお、「新規患者には○週間目に自動で定型文を送信」「ハイリスク薬を使用中の患者は×週間毎にアラート」といった一律の運用は、有益でないばかりか患者等の信頼を損ねることにもなりかねないので、実施にあたっては慎重に検討すること。

引用:9-10ページ

 誤った情報を配信してしまった場合、重大な結果を引き起こします。何らかのリマインダー(思い出すための情報)なら良いかもしれません。

薬剤師とコミュニケーションしましょう

 フォローアップ手引きをざっと読んで見えてきたことを書きます。薬剤師はフォローアップすることで、追加で診療報酬を得られることは一部の例外を除き無いようです。薬剤師にとってフォローアップが責務だとしても、それを積極的に行う理由は見出せません。

(3)患者等への確認方法

一般的に、患者等に確認を行う手段としては、対面(来局・訪問)のほか、電
話やファックス等が挙げられる。また、最近では、電子お薬手帳や SNS など ICT
の活用も進んでいる。
確認方法を選択する上では、「目的に照らして適当か」「双方向性が維持されて
いるか」が重要になると考えられ、薬剤師はそれらを適切に判断する。

引用:10ページ

 電話回線やインターネット回線経由を使った手段で患者と連絡した場合、その事実や内容を客観的に記録していないので、診療報酬に結びつかないと考えられます。例えば、薬剤師がフォローアップのために電話で患者に連絡しても、それが適切な業務であると認定する方法が今のところないので、今後の診療報酬改定で報酬化になる見通しが見出せません。薬剤師による不適切なフォローアップが行われていても、気づかれないかもしれません。薬剤師のフォローアップを後から検証しようとした場合に、何も証拠が残っていないことがあり得ます。

 薬剤師は患者にどのようなフォローアップができるか周知することが大切だと思います。それによって患者側がフォローアップのリクエストしやすくなります。

 前提としてフォローアップしなくても済むように、対面時に指導や情報提供をしっかり行うべきだと思います。

 医療行政はトップダウンで柔軟性がありません。川の水が上流から下流に流れてくるように、その流れはなかなか変わりません。川の流れを活用するのか、川に流されて溺れてしまうのか、それはあなたの責任です。川の流れ身を任せる如く、医療行政に身を任せているだけではよい治療結果が得られません。

 フォローアップという川を活用しましょう。一番の近道は薬剤師とコミュニケーションして、どのようなフォローアップを受けられるのか質問することです。今回のことで、質問しやすい状況になりました。

薬剤師に活躍をして頂きたい

 私は2016年7月11日に厚生労働省へ陳情に行きました。伝えたいことを「ご提案」という形で書類にまとめて手渡しました。その中に「ご提案4:薬剤師の責任と権限を明確にして、薬剤師の独立した活躍を支援されてはいかがでしょうか」がありました。今回のニュースを知った時に、私の提案も役立ったかもしれないなって思いました。現在、薬剤師は6年間大学で学んでいます。薬の専門家としてその能力を十分に発揮していただきたいと願っています。

2016年7月11日厚生労働省へ手渡した提案書の概要
 7月11日に厚生労働省へ陳情に行ってきました。その際に私が手渡した提案書の概要について、書きたいと思います。 準備段階で「陳情書」として書いていました。しかしW-BADの広報担当から陳情書は既に準備済みと知らされましたので、相手を混乱させ

用語集

アドヒアランス

 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する。
引用:アドヒアランス – 薬学用語解説 – 日本薬学会 (pharm.or.jp)

SOAP形式

POS(Problem Oriented System)を実現するための記録方式

  • S: Subjective Data  主観的データ(患者の訴え)
  • O: Objective Data 客観的データ(観察結果)
  • A: Analysis/assessment 判断・評価・考察(どう思ったか)
  • P: Plan 方針・計画(どうするか・何をしたか)

引用:SOAP – 薬学用語解説 – 日本薬学会 (pharm.or.jp)

ICT

《information and communication technology》情報通信技術。
[補説]ITとほぼ同義。日本では、情報処理や通信に関する技術を総合的に指す用語としてITが普及したが、国際的にはICTが広く使われる。
出典:デジタル大辞泉

リテラシー

 活用能力のこと。

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