ヒロシさんとは
ヒロシさんはお笑い芸人です。ホストの格好をして自虐的なフレーズをカッコ悪く決める方(誉め言葉)です。哀愁漂う「ヒロシです」「俺のサドルがありません」と言うフレーズが私は好きです。昨年の暮れにYouTubeを開くと「ヒロシちゃんねる」の動画が、おすすめに表示されたので見ました。正直言いますと、その動画の内容を覚えていません。何故覚えてないかと言うと、キャンプしているようですがヒロシさんがあまり画面に出てこないからです。その動画を閉じてから、ヒロシさんの事を調べている時に「働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける」を見つけました。ヒロシさんがどうして自己主張してこないキャンプ動画をアップロードしているか分かりました。理由はキャンプが大好きで、それを楽しんでいる事を記録として残しているだけだったから。そこには芸人ヒロシはいない。ここに至るまでの理由がこの本には書かれています。
テレビに登場しなくなった理由
Googleトレンドで「ヒロシです」を検索すると、人気度の傾向は2005年1月にピーク(100)で、2006年9月には最低(0)に1度なっています。

https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=all&geo=JP&q=%E3%83%92%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%81%A7%E3%81%99
ヒロシさんの著書「ヒロシです。」は2004年9月発売、「ヒロシです。2」は2005年4月発売でした。その間が芸人としての人気絶頂期だったわけです。
ヒロシさんは元々あがり症なので人前で話すのが得意ではありませんでした。人気者としてテレビに出演することに恐怖を覚えたそうです。ついには飛び降り自殺を考えるようになっていました。医師から「パニック障害」と診断されたと書かれています。テレビ出演を継続することができなくなったのです。
追い込まれて気づいたこと
ヒロシさんは自分にない能力をテレビ業界から求められ過ぎて、生きるのが苦しくなってしまいました。自分が伸ばしたい事(つまりやりたい事)が出来ず、そうでない事を我慢してやり続けるのに限界を感じてしまいました。そして、お笑い芸人をやらされている状態になってしまいました。
世の中には求められることに応じていくことで収入を得ている人が多数派です。それはとても重要な事です。しかし、中間に入る関係者が多くなりすぎて、本当は誰の要求を満たしているのか分からなくなってしまいました。ダイレクトに求められることに応じてその反応を得たい。ヒロシさんはそういう自分に気づいていきました。
試しにやってみたことの一つがYouTubeへの動画投稿でした。YouTuberになって売れようとしたわけではなく、プライベートな記録として上げて、仲間と見返すためだったのです。2015年3月15日に始めた「ヒロシちゃんねる」は2019年2月1日現在、チャンネル登録者33万人越えです。最初の広告収入は数百円でしたが、月収4000万を稼いていた時には無かった、自分の手で稼いだ実感があったそうです。
今は「有限会社 ヒロシ・コーポレーション」という芸能事務所をマネージャーと2人で営んでいます。仕事の関係者、というより生きる上での関係者を減らしたかったようです。ヒロシさんは人見知りなのに色々気遣いするのを止めたかったのではないかと私は思いました。
こっそりと無言実行
誰かに宣言して行動することを有言実行と言いますが、それに対して誰にも言わずに行動することを不言実行と言います。ヒロシさんは「無言実行」と書かれています。なんともヒロシさんらしい。
身近な人への有言実行は、邪魔が入りやすいし、ハードルが上がるのでおすすめしません。新しいチャレンジはやってみないと分からないから、想定通りにいかないのは当たり前です。直ぐに中止するのも、進路を修正するのも気軽にするためには「無言実行」をおすすめします。私もヒロシさんの意見に賛成します。
何が成功するか分からないので、いくつか気軽にチャレンジするには「無言実行」が正解です。
「無言実行」から始めて上手く行きそうになって協力者が欲しい時に、今始めたかのように「有言実行」してしまえば良いかもしれないと私は思いました。
ただ好きな事をする
ただ好きな事は、自分に動機があるので、他人の評価を必要せずに続ける事ができます。誰かに評価されたい場合は、評価が得られなければ続きません。得意であっても好きでなければ続きません。収入が目的の場合は、収入に満足できなければ続きません。周りの環境に影響されずに続けるには、ただ好きである必要があります。
興味関心があることは、下手であっても継続して続ける事ができます。継続の先にしか成功はないとヒロシさんは書いています。
気持ちよく仕事できることも利益の一つとヒロシさんは説いています。気持ちが良いと、また同じような気持ちを味わいたくなり、自ずとそれを探します。快楽を探求する本能を味方につければ継続できて成功する可能性も高まります。
愛情をもって取り組んでいることは、周りの人を引き付けるような好感を与えます。嫌々やっていると、周りの人を遠ざけるような悪い印象を与えます。魅力ある人は成功しやすいと私は思います。
一度孤独になってみる
自分の言動や行動に責任を取るには、誰からの命令ではなく、自分の意志で選択する必要があります。それが出来ると、意思決定が速くなります。そういう人たち間の話し合いは、やはり話が速くまとまります。
A社所属のXさんではなく、Xさんが居るA社と言う自分に持っていくと、自分がしたい仕事が社会から集まってきます。会社員でもそういう意識で励むことで、自分の価値が高まります。
ヒロシさんの文章を読みながら、これって反抗期の必要性を説明している気がしました。今まで頼ってきた人たちへ反抗することで、自分の限界や自分がお世話になってきたことを体感するのが反抗期の醍醐味だと思います。ヒロシさんはそれが遅れて緩やかにやってきたので、社会人として生きながら個の大切さを強く感じていると私は思いました。
孤独でいる時期も、集団でいる時期もそれぞれしっかり経験することで、自分の言動と行動に責任が取れる人になれると私は考えています。孤独をしっかり経験した人は、集団の中に居ても自分が独立して居られると思います。相手の立場になって考えるには、様々な経験が必要です。
集団の時代から個の時代へ向かった後、再び集団の時代へと向かうと想像します。個人は身軽で動きやすい面もありますが、スケールメリットがないので効率が悪い場面もあります。自分がなぜ個で居るのか、なぜ集団で居るのか理由を自覚しておく必要があると思います。自分で選択している感覚があると気持ちが楽になります。
「働き方1.9」の意味
タイトル「働き方1.9」の1.9が2.0でない理由は、ヒロシさん自身が未完成で残りの0.1はまだまだ追い求めているという謙虚さからです。そして読み手にも自分なりの2.0を探ってほしいと促しています。
副題「君も好きなことだけして生きていける」について私なりに考えてみました。人の迷惑を考えずに好き勝手して生きていきなさいという意味ではなく、好きな事しか長く続けられないから、芽が出るようにいくつか種まきしようという意味だと思います。
