ネットストーカー対策


ネットストーカーとは

 ネットストーカーとは、拒否しているのにもかかわらず、LINE、Facebook、Twitter等のSNSメッセージ機能等を利用した電気通信経由で、つきまといする者を指します。規制対象となるつきまといの内容は、行動を監視していることを明示的や暗示的に伝えて恐怖心を与える、面会や交際など義務ではないことを要求する、著しく粗野または粗雑で乱暴な言動をする、名誉を傷つける言動したり周知する、嫌悪感を与える画像等を見せる、性的羞恥心を与えたり周知することです。

ネットストーカー ≒ サイバーストーカー > デジタルストーカー

 ネットストーカーは、サイバーストーカーやデジタルストーカーとも呼ばれます。サーバーストーカーは英語のCyberstalkingが由来で意味はほぼ同じですが、インターネット以外の電子手段を用いたストーカー行為を含んだ表現です。デジタルストーカーと表現する場合、デジタル化された情報(画像、動画など)を元にターゲットの個人情報を探る意味合いが濃くなるようです。デジタル化された情報の入手はインターネット経由で行う場合が多いので、ネットストーカーが浸透した表現です。

ネットストーカー対策(警察へ相談編)

緊急性がある場合

 ストーカーが家の前をうろついたり、メール等で今から家に行くと伝えられるなど、具体的な行為や犯行計画が分かった場合は、緊急通報「110」で警察へ連絡し、被害の証拠があれば提示し、被害届を提出してください。今後のことを相談し、場合によっては定期巡回などの支援を受けます。

緊急性がない場合

警察相談専用電話「#9110」

 ストーカーによる嫌がらせ行為にとどまり、具体的な脅威が差し迫っていないならば、警察相談専用電話「#9110」へ相談をご検討ください。#9110は最寄りの警察相談専用電話へ中継する代表番号で、中継された都道府県によって受付時間が異なるようですが、概ね平日の午前8:30~午後5:15が受付時間のようです。受付時間外で相談したい場合は、最寄りの警察署へ電話するのが良いと思います。

サイバーポリス

 サイバー犯罪(インターネット経由で起きる犯罪)を取り扱う部署が警察にあるそうです。体制は都道府県によって異なります。電子メールやウェブフォームから相談を受け付けている都道府県もあります。インターネット経由で起きる犯罪はネットストーカー以外に、不正アクセスする、コンピューターウイルスを感染させる、通信販売で詐欺行為をするなどあります。以下のリンクに都道府県別のサイバー犯罪対策ページがあります。

ネットストーカー対策(自衛編)

本名を公開しない

 本名をインターネット上で公開すると、それに関連する個人情報が分かります。家族にも影響が及びます。一度公開すると、取り消すことは不可能です。

 本名を公開しながらの発言に重みが生まれるのは間違いありませんが、同時に責任が生まれます。

 本名を公開する必要性がなければ、ニックネームにしておいた方が無難です。そのニックネームをリアル知人に教えると、本名とニックネームの関連を周知される場合があるので、止めておいた方が無難です。

住所を公開しない

直接的にも間接的にも教えない

 住まいを簡単に変えられない人は、不特定多数に住所を教えないようにしてください。自分の部屋で撮影した写真や動画を公開すると、部屋の間取り、壁紙のデザイン、窓から見える風景などから住所を特定される可能性がありますので、注意してください。駅から自宅までライブ放送しながら帰る人がいますが、簡単に住所が特定されますので止めてください。

 瞳に映った景色を元に駅を特定し、それを元に住居を絞り込み犯行に及んだというショッキングなニュースが飛び込んできました。

画像フォーマットに格納されている位置情報に注意

 画像フォーマットJPEGにはExif(撮影日時、GPSの位置情報、撮影機種など関連情報)が格納されている場合があり、そのままインターネットに公開すると、撮影場所が正確に特定される可能性が高くなります。一部のSNSサービスはExifを自動で除去していますが、それ以外はそのまま公開されている場合もありますので、ご注意ください。

行動予定を公開しない

 インターネット上に行動予定を公開すると、待ち伏せされる可能性があります。その相手が良識ある人とは限りません。行動予定の不必要な公開は止めてください。

現在地をリアルタイムで公開しない

「お出かけ先の感動を早くSNS経由で共有したい」その気持ちは分かりますが、それをリアルタイムにすると、不特定多数に現在地が特定される可能性があります。それが問題にならないように、その場所を離れて1日以上経過してから、SNSに公開します。

メールアドレスを交換する場合は専用のアドレスを教える

 メールアドレスを交換する場合は、その人専用のメールアドレスを発行し伝えます。その人から誹謗中傷など受け取りたくないメールが届いたら、教えたメールアドレスを無効にします。ほかのメールアドレスは有効なので、問題はありません。

 エイリアス(別名)と言って、1つのメールボックスに対して複数のメールアドレスを作れるメールサービスがあります。例えば、Apple社が提供しているiCloudサービスの「メール」があります。作成できるエイリアスの数に上限がある場合は、初対面用、ビジネス用、友達用、家族用のようにある程度の分類をし、エイリアスを予め作っておきます。

メールのフィルター機能を活用する

 仕事の関係で、不特定多数にメールアドレスを公開している場合、ネットストーカーから嫌がらせメールを送られる場合があります。その場合は、そのメールアドレスから届くメールを、受信トレイ以外のフォルダーへ振り分けるフィルター(メール振り分けのルール)を作成します。「やめてください」と返信することで相手は喜びますから、メールを読まず、返答もしないようにします。

 メールソフトに表示されている送信元メールアドレスは偽装されている場合があります。実在するメールアドレスや実在しないメールアドレスを表示し他人に成りすまします。お使いのメールアドレスを発行している会社が運営しているメールサーバー(メールを預かっている)のセキュリティ機能が充実していれば、ヘッダー情報を元にメールアドレスの偽装行為を判定し迷惑メールフォルダーへ振り分ける機能があります。近年のメールサーバーやメールソフトはメールアドレス偽装を見破る仕組みがあります。

 メールアドレスを提供している会社の質が迷惑メール対策にも関係しています。セキュリティ対策がしっかりしている会社を選びましょう。

メールの送信者を特定する

 メールの内容をしっかり読む気力がある方は、内容によって警察に相談し、法的な対抗措置をします。

 メールにはヘッダー情報が含まれていて、どのメールサーバーからメールが送信されたかを調べられます。法的な手続きを踏むと、メールサーバーの管理者にメールを送信したユーザーのアカウント情報や送信元IPアドレスを提出させることが可能で、そのIPアドレスを割り当てているインターネットプロバイダーへ問合せすることで、その時間に接続していたユーザーは誰かを特定できる場合があります。海外のサーバーを複数中継するなど、手の込んだ送信元の隠ぺい工作をされると特定ができない場合もあります。

 犯人を誤認する危険性もあるので、最終的な調査は警察や専門家にお願いしましょう。警察が無実の一般人を誤認逮捕した事案もあります。インターネット上の犯人特定は高度な知識と経験が必要です。

 インターネット上の犯罪者を特定するのは難しいようです。インターネットカフェや公衆無線LANなど、第三者が契約している通信を経由したり、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)技術で第三者のIPアドレス経由で通信されると、追跡に手間がかかります。

SNSの運営会社へ通報する

 SNSのブロック機能を使っても、犯人が複数のアカウントを作って執拗に攻撃してくる場合もあります。

 お使いのSNSでネットストーカーやそれに準ずる迷惑行為で困っている場合は、SNSを運営する会社へ連絡するのが良いと思います。ただし、その返答や対策に時間がかかる場合があります。

 緊急性がある場合は、警察への相談を検討してください。

コメント欄を閉鎖する

 ウェブサイトやブログで不特定多数からコメントを受け付けている場合は、コメント欄の閉鎖を検討します。

生体認証に使用される部位を公開しない

 近年のデジタルカメラは高精細に撮影できるので、不正な生体認証に悪用される可能性があります。

 生体認証に使用される部位は、指紋、手のひらの静脈、目の虹彩、網膜の毛細血管などがあります。特に指紋は画像を元に複製するのが容易であるようです。

 現時点で大きな問題になっていませんが、将来的に生体認証をパスするような複製を作られた場合に、深刻な問題に発展する可能性があります。人間の体はパスワードのようには簡単に変更ができません。

SNSに疲れたら、暫く止める

 SNSに疲れたら、コメント欄など閉鎖してSNSへのログインを暫く止めます。「人の噂も七十五日」と言います。365日を5で割ると73日になります。そのぐらい日にちが過ぎると季節も変わり気持ちも変わります。その後にSNSを再開するか考えればよいのです。また、同じアカウントを継続する必要性もありません。

オフラインデーを設ける

 オフラインデーとはインターネットに接続しない日のことです。それによってインターネットによって得られているもの、失っているものが分かります。

まとめ

 スーパーマーケットには万引き犯がやってきます。完璧に万引きを防止する店づくりをすると、大多数の善良なお客が買い物しにくくなります。スーパーマーケットで空港でしているようなセキュリティチェックをすると、お客の利便性を大きく損ない、客離れを起こして、収入が減るので行っていません。

 インターネットで何も公開しなければネットストーカーの被害もありませんが、人とのつながりで得られるものもなくなります。ネットストーカーのような「招かれざる客」を遠ざけながら、自己表現し、他人の表現も受けるような仕組みを作っていく必要があります。「お客様」と「招かれざる客」が99対1ならば、毅然とした対応をしながら、自己表現を続けられると思います。

ストーカー行為等の規制等に関する法律

参考資料

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