デートレイプドラッグにご用心


デートレイプドラッグとは

 相手を昏睡状態にするために悪用される睡眠薬、坑不安薬などの向精神薬のことです。

犯行手口

 睡眠薬や坑不安薬を砕いて、飲み物や食べ物に混ぜて、相手に飲食させて昏睡状態にします。合わせてお酒を飲ませることで、薬の効き目を増強させます。

お酒(エタノール)と睡眠薬・坑不安薬の共通点

 共にGABA-A受容体に作用する薬物です。眠たくなったり、記憶が曖昧になったり、筋肉が緩んだりします。組み合わせることで容易に昏睡状態になります。意識があったとしても抵抗する力が出ないので、大変危険な状態になります。

GABA-A受容体作動薬の系統

  • バルビツール酸系
  • ベンゾジアゼピン系
  • チエノジアゼピン系
  • Z薬(非ベンゾジアゼピン系)
  • アルコール(酒類に含まれるエタノール)

一部の睡眠薬は着色されている

 ロヒプノール、サイレース(成分名:フルニトラゼパム)は食べ物や飲み物に混入されても分かるように、青色に着色されています。

・フルニトラゼパム製剤の着色錠の使用に当たっての留 意事項について(◆平成27年07月01日薬食安発第701001号薬食監麻発第701001号薬食審査発第701003号)

 しかし、ほとんどの睡眠薬・坑不安薬が着色されていません。

睡眠薬や坑不安薬は巷にあふれている

処方薬が手元に余る

 睡眠薬や坑不安薬は日本で簡単に処方されています。それを使用せずに貯めて闇ルートで売りさばいている話を聞きます。もちろん違法行為です。

 精神医療の現場では2〜4週間分の薬を処方されますが、体に合わなかった場合違う薬に変更されることが多くあります。一度処方された処方薬は返品できないので、手元に余ります。向精神薬で治療したい医師と、それを飲みたくない患者がいる場合も、処方薬が手元に余る原因です。

医療関係者によって盗まれたり、不正流出している

 向精神薬は厳重に管理することが決められており、在庫の管理をしています。在庫を確認した際に大量に無くなっている事件が起こっています。医師、看護師、薬剤師などの医療関係者が容疑者になっています。

 診察していないのに処方箋を交付することで、向精神薬が不正に流出しています。

密輸入されている

 密輸入しようとして摘発される事件が起きています。摘発されずに輸入されたものもあると思います。

被害に遭ったと思ったら

 残念ながら時間を巻き戻して被害を無かったことにできません。気持ちを軽くするために、速やかに行動することをオススメします。何もできずに無力感を感じ続けると、心的外傷を深めてしまいます。

 相談することで二次被害を受ける可能性があります。相談する相手は選びましょう。

 相談窓口へ連絡することも選択肢の一つです。

髪の毛から調べられる

 薬の成分は尿からは数日で排出されるが、髪の毛には長期間とどまります。髪の毛を化学分析することで、どの薬がいつ頃体内に入ったか調べられます。

この記事を書こうと思ったきっかけ

「東京新聞:レイプドラッグ 心身裂く ビール2杯…気付くとホテルに:社会(TOKYO Web)」を読ませて頂いた事がきっかけで、この記事を書きました。

※2020年5月16日ごろリンク切れしたようです。コピーがこちらでご覧いただけます。

 私は睡眠薬や坑不安薬が処方薬として簡単に入手できる状態を問題視しています。それに加え医療機関から不正に処方薬が流出していることを許せません。日本だけではなく世界中に睡眠薬や坑不安薬が蔓延しています。

 外来患者は持ち帰った処方薬をどのように扱うか分からないので、このような危険な薬を外来患者に手渡して良いのだろうかと思っています。

自衛の方法

  • 「席を離れるときはできる限り、飲み物を飲みほす」
  • 「飲みかけの飲み物を置いていかない」
  • 「薬によっては色が変わるものもあるため、色が変わっていないかをチェックすること」

引用:https://www2.ctv.co.jp/news/2018/09/11/21622/

参考資料

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