請願(せいがん)と陳情(ちんじょう)について



請願(せいがん)とは

  1. こいねがうこと。目上の人などに願い出ること。「会社に復職を請願する」
  2. 国民が国または地方公共団体の機関に対して、損害の救済、公務員の罷免、法律・命令・規則の制定・廃止・改正その他の事項に関し、文書で希望を申し出ること。日本国憲法で権利(請願権)として認められているもので、請願法・国会法・地方自治法に手続規定がある。「国会に請願する」「請願書」

出典:デジタル大辞泉

 日本国において請願は、法律に規定された行為であり、権利です。ただし、請願によって特別扱いされるものではなく、また回答を得られる保証もありません。

法律

日本国憲法

第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=321CONSTITUTION#50

請願法

昭和二十二年法律第十三号
請願法
第一条 請願については、別に法律の定める場合を除いては、この法律の定めるところによる。
第二条 請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。
第三条 請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。
○2 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは、請願書は、これを内閣に提出することができる。
第四条 請願書が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。
第五条 この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。
第六条 何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
附 則
この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000013

国会法

第九章 請願
第七十九条 各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。
第八十条 請願は、各議院において委員会の審査を経た後これを議決する。
○2 委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願は、これを会議に付さない。但し、議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。
第八十一条 各議院において採択した請願で、内閣において措置するを適当と認めたものは、これを内閣に送付する。
○2 内閣は、前項の請願の処理の経過を毎年議院に報告しなければならない。
第八十二条 各議院は、各別に請願を受け互に干預しない。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000079#292

地方自治法

第六章 議会
 第七節 請願

第百二十四条 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。
第百二十五条 普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000067#Q

陳情(ちんじょう)とは

[名](スル)目上の人に、実情や心情を述べること。特に、中央や地方の公的機関、または政治家などに、実情を訴えて、善処してくれるよう要請すること。また、その行為。「国会に陳情する」「陳情団」

出典:デジタル大辞泉

 日本国において陳情は、法律に規定されていません。そのため、取り扱いに規則はありません。請願と比べると非公式な性格を持ちます。請願は書類で行う必要がありますが、陳情は書類以外でも可能と言えます。

どっちがいいの?

 請願と陳情のどちらの方が効果的か考えてみました。

メリット デメリット
請願 記録に残る。 紹介議員の確保など準備が必要。
請願内容、氏名、住所が公開される場合あり。
陳情 簡単に出来る。 記録に残らない可能性あり。

 提出先の記録(議事録など)に残すためには請願の方が良いと思われます。ただし、提出者の請願内容、氏名、住所が公開される場合があります。

 伝えることが目的の場合は陳情の方が良いと思われます。内容証明郵便(1359円〜)、e内容証明郵便(1220円~)で陳情書を送れば、相手にどのような文章が渡ったか記録に残せます。

まとめ

 請願は書類で提出するものなので、相手に面会を求めて話を聞いてもらう場合に、請願に行くとは言えないようです。提出した請願書は、その後どう取り扱われたかを追跡できる可能性があります。

 陳情の効果が感じられない場合は、請願に切り替えると審議内容が分かるかもしれません。厚生労働省へ請願書の提出も可能と考えられます。だたし、回答が得られる保証はありません。

 2016年7月11日の「世界ベンゾ注意喚起の日」に厚生労働省で陳情の場が設けられました。代表者が厚生労働省へ提出した要望書(陳情書)に対して、厚生労働省側は文章での回答を拒否しました。陳情の場に出席していた上田令子都議は、何かの法律に基づいて文章での回答を求めると厚生労働省側へ伝えていました。それが何の法律か覚えていないのですが、議員であれば回答を得られるようです。もしかすると次の法律かもしれません。

第六章 議会
 第二節 権限

第九十九条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。

引用:地方自治法 | e-Gov法令検索

 請願や陳情する内容が重要です。提出する前に、内容を精査したほうが双方の時間を節約すると思います。的を得ている内容であれば陳情でも効果があると私は思います。

参考資料

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